戦いのシンバル

自由な生き方を模索するライフブログです

最後まで、夏の主役でした。

昨日は都内に用事あったのですが、そのあとに渋谷のスポーツバーに寄り高校野球夏の決勝戦金足農業VS大阪桐蔭を見てました。

 

金足農業のエース、吉田君は連投の疲れも見せずいつも通りの投球を見せました。しかし、大阪桐蔭はこの吉田君をよく研究しているようでした。低めの球でもしっかり振りに行く。中にはボール球でも食らいついていき、ヒットゾーンにもっていく打者もいました。大阪桐蔭としては甘い球はもちろん、吉田君のベストショットこそ打ちに行くという攻撃的な姿勢がよく見えました。一番打者が打ったスリーランもそうですが、内角低め一杯の球でも当てに行きます。結局吉田君は被安打12の12失点。5回でマウンドを降りることになりました。

 

金足農業大阪桐蔭のエース、柿木君を打ち崩せず、結局13-2で大阪桐蔭が勝ち、2度目の春夏連覇を達成しました。

 

しかしこの試合、金足農業に視点を置いてみると注目すべき点が一つありました。それは吉田君の後を受けて登板した打川君のことです。金足農業は秋田大会からすべて吉田君が投げてきたので、打川君はこの夏は初登板となりました。しかもその舞台は夏の全国決勝、相手は吉田君を打ち崩して波に乗る大阪桐蔭の強力打線です。雰囲気に飲まれてしまうかと思いきや、打川君は好投を見せ三回を一失点に抑えました。本職はサードながら、直球、変化球共にまとまった内容で「金足農業にはまだこんなピッチャーがいたんだ!」と驚きました。

 

ここからは「たられば」の話になってしまいます。しかしこういった展開を見ると、やはり吉田君ではなく打川君が先発していれば・・・とも思いました。単純な計算にはなりますが、3回で1失点なら9回で3失点。3点勝負ならまだ勝負の行方は分からなかったと思います。甲子園は最初から金足農業の応援に傾いていました。僅差の勝負ならあるいは・・・と仮定の話をつい頭の中で進めてしまいます。

 

しかしこれらは後から考えた結果論に過ぎません。金足農業は吉田君で勝ち抜いてきたチームです。決勝の大舞台で吉田君を投げさせないという考えはありえなかったでしょう。負けたとしても、これが金足農業の野球だったんだと思えば仕方のないことなのかもしれません。

それにしても、今年の金足農業フィーバーはすごいものでした。今日の昼のワイドショーを見ていたら、民放二局で秋田空港での金足農業の凱旋を生放送で中継していました。NHKのニュースでもこの熱狂的な凱旋を報じていました。長いこと高校野球を見ている私ですが、準優勝したチームがこんなに大きく報じられることはみたことがありませんでした。それだけ金足農業への熱いまなざしが多くあったということでしょう。

 

みんな、こうした純朴な高校野球が好きなんだなと思いました。みんな地元出身の公立校。しかも農業高校。硬式野球をやるのは高校に入ってから。三年生は9人だけ。秋田は雪のハンデもあります。

 

大阪桐蔭だって並々ならぬ努力をしてきたはずです。昨年の夏はエラーから始まった逆転サヨナラ負け。そこから出発して春は優勝し、連覇の重圧がかかる中で本当に連覇したのは素晴らしいの一言です。

 

しかしそれでも、今年の夏の主役は金足農業だったと思います。秋田県勢が今年以前に決勝に進んだのは第1回大会、さかのぼること103年も前の話です。当時は全都道府県から出場できたわけではなく、全国大会の参加校は10校だけでした。もちろんすごい選手を全国から集めるなんて言うことは無く、当然みんな地元のチーム。それでも当時の大会は全国の注目を集めてファンもこれを大いに楽しんだそうです。

 

全国から選りすぐりの選手を集めて最強のチームを作る。もちろんこういう学校があってもいいと思います。日本中の優秀な選手の中で切磋琢磨し、才能を開花させる選手だっています。しかし、今年の金足農業は、前回秋田県勢が決勝に進出した時のような、純粋な地元の高校野球を現代によみがえらせたようなチームでした。だからこそ人々の耳目を集めたのでしょう。

 

決勝では負けてしまいましたが、全国の高校野球チームの中で最後まで試合をしたのはこの2校だけです。本当に素晴らしかった。またこの感動を味わいたいので、僕は天寿を全うするその時まで高校野球を見続けます。そして願わくは、東北勢の優勝、もっと欲張れば僕の地元・宮城県の優勝を見届けたいものです。

 

感動をありがとう!