戦いのシンバル

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書店を元気に!「生き残り」から「未来志向」の書店経営へ。


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「あれ、ここに本屋があったはずだけど、なくなってるな」
 
街を歩いていると、こういうことってよくありませんか?
 
前は確かに本屋があったはずなのに、ある時見てみるとシャッターが閉まったままになっていたり、中がもぬけの殻になっていて「貸し物件」なんて貼りだされていたり。
 
実際書店経営は苦境に立たされています。
 
地方の小さな店舗ほど厳しい状況にありますが、大手書店も盤石かと言えばそうではありません。
 
大手経営トップからも、「現在の販売スタイルのままでは『化石化』してしまう」と将来を危惧する声が聞かれます。
 
なぜこれほどまでに書籍販売の市場は閉塞してしまったのでしょうか?
 
そしてこれを打開する術はあるのでしょうか?
 
僕は「ピンチはチャンス」だと考えています。
 
いまこそ書籍販売のスタイルを大胆に変える一大チャンスです。
 
今まで話題の本を並べて売るだけだったスタイルから、どうやって脱却すればいいのか?
 
これらのことを経営の視点から見ていきます。
 
一緒に書店を盛り上げて、地域を活性化させましょう!
 
見出し

 縮小するリアル書店経営市場。

 
リアル書店(実際に店舗を構える書店)の数は年々減少の一途を辿っています。
 
2000年に21,654店あった書店は、2017年には12,526店まで減りました。
 
17年の間に42%にあたる書店が廃業を余儀なくされています。
 
原因はいくつかありますが、やはり人口減少というのが一番の理由と考えられるでしょう。
 
減っていくパイを互いに奪い合いような状況では、共倒れを招きます。
 
そのダメージは小規模書店のみならず、大手書店にも深刻な影響を及ぼしています。
 
大手書店の中には売り場面積を減らしたり、営業時間を短縮するなどコストカットの動きが見られます。
 
大手と言えど、出版不況の影響をは無関係とは言えないのです。
 

 「置いてある」だけの書店ではやっていけない。

 
多くの書店では、売り方が均一化される傾向にあります。
 
それは「人気のある本を並べておくだけ」
 
全国的に売れている本を平積みにしてエンド(本棚の横の広い場所)に置いておくのです。
 
本屋大賞受賞!」といった肩書がついた本なら、そういう売り方のほうが売りやすいですよね。
 
しかしこの売り方は他の書店もやっています。
 
販売の差別化の観点から言うと、これだけでは上策とは言いづらいです。
 
売れている本は売らない。
 
書店を活性化させるのは、このような一見逆説的な手法も必要です。
 
では具体的にどのような策を講じれば書店を活性化させることができるでしょうか?
 
これから5つの手法をご紹介します。できそうなところからやっていってみましょう!
 

 書店活性化策5選!

  「本の案内役」をアピール

 
本屋さんの中には、あらゆる本に精通した「プロ書店員さん」が働いている場合も往々にしてあります。
 
「こういう本を探しているんだけど・・・」というぼんやりした情報からも的確な本を察知して、すぐに持ってきてくれたりします。
 
こういう書店員さんの存在は大変価値あるものです。
 
書籍販売業界の黒船とも言えるアマゾンですら、注文した本を即時に持ってきてくれることはありません。
 
早くても「当日」です。
 
僕の住む茨城では「翌日」が最短です。
 
またアマゾンは書名で検索しないと該当の本が出てこないので、あいまいな情報では目当ての本を見つけることは難しいです。
 
しかしこの「プロ書店員さん」は即座に本を持ってきてくれます。
 
しかも検索窓ではけして打ち込めないような曖昧な情報でも、的確に対象の本にアプローチできます。
 
僕がこの間お会いした「プロ店員さん」は、ぼんやりした情報を伝えてからわずか数秒で目当ての本を持ってきてくださいました。
 
大型店だったのですが、本当に光の速さで持ってきてくれました。驚嘆の一言です。
 
しかし顧客からすればそうしたプロ書店員さんを活用する機会はありません。
 
なぜならそういう店員さんがいること自体を知らないからです。
 
また店員さんによってもそういったスキルに差がある場合もあります。
 
そこで提案したいのが、こうした「プロ書店員さん」を、「本の案内役」としてPRするのです。
 
実際に紀伊國屋書店さんでは「本のコンシェルジュ」を要請しています。
 
格好もそれとわかるような制服を着ていて、「なんでも相談してください」というPRをしています。
 
そうすれば、豊富な知識を持つ書店員さんへの相談もしやすくなります。
 
書店員さんの持つスキルの高さに感銘を受けることができるし、そのお店のファンになってくれます。
 
「本の案内役」となる店員さんも自分のスキルをお客さんが直接頼ってくれることで、自分の仕事に自信が持てるようになると思います。
 
「あなたのおかげで助かったよ!ありがとう!」
 
この一言が店員さんにとってどれだけ励みになることか。
 
お客さんも喜び、店員さんも自信を深め、固定客が付くことでお店の売り上げが上がる。
 
いいことしかありません。
 
書店を経営されている方は、ぜひこの「本の案内役」をPRしてください。
 
「うちの店にはそんなスキルのある人はいないよ」
 
という経営者の方もいるかもしれません。
 
しかし本屋さんで働いているからには、何かしらの本に対する知見があるものかと思います。
 
まずは店員さん一人一人の本に対する思いに耳を傾けてください。
 
今まで気が付かなかった店員さんの魅力を引き出せるかもしれませんよ。
 
ちなみにこの「本の案内役」、NHKの「プロフェッショナル」でも取り上げられました。
 
北海道の小さな書店「いわた書店」。読み手に合わせて1万円の予算で本を詰め合わせて届ける「1万円選書」が反響を呼び、3000人待ちという驚異的な活況を呼びました。
 
3000人×1万円=3000万円の売り上げです。個人経営の書店としては驚異的な売り上げですよね。
 
人は財産です。ぜひ「本の案内役」を発掘しましょう!
 

 イベントを打って集客を狙う。

 
イベントを打って集客を狙うのも効果のある売り上げアップ法です。
 
事例としては東京を本店とする天狼院書店さんが挙げられます。
 
 
この天狼院書店さんでは、頻繁に多種多様なイベント打っています。
 
たとえば「本屋で飲み会」。
 
一冊の料理本を取り上げて、書店員さんが実際にそれをもとに料理を作って参加者に振る舞うというイベントです。
 
実際の料理本を読みながら、「どんな料理が出てくるのだろう?」とワクワク待つ時間も楽しそうです。
 
お酒も出るので、本について語るときもより下が滑らかになりそうです。
 
他には「小説家のなり方講座」もあります。
 
実際に小説家の方を招いて、トークイベント・質疑応答・サイン会を行います。
 
本屋さんと小説家というのは大変親和性が高い分野なので、高い相乗効果が望めそうです。
 
他にも「英語ゼミ」、「落語会」、「読書会」、「一日店長体験」などなど、実に多様な企画を開催しています。
 
時代は「モノ」消費より「コト」消費へと流れていると言われています。
 
本を買うという「モノ消費」にとどまらず、イベントを体験してもう「コト」消費に流れを持っていく。
 
それは時代のトレンドに乗ることにもつながります。
 
 ・ビールやコーヒーを売る。
 
本屋さんでは本だけではなく文具などを売ることも多いかと思います。
 
ではビールやコーヒーを売るのはどうでしょうか?
 
本屋にビール・・・極端なように思われるでしょうか?
 
でもこれを実際に売り出した事例があります。
 
東京の下北沢に店を構える書店「B&B」。
 
 
このお店ではビールもコーヒーも売り出しています。
 
カフェを併設している書店は大手を中心によく見かけますが、この書店では自分の店でコーヒーを作っているのが特徴です。
 
このビールやコーヒーを売り出すことも、やはり「コト」消費の一つです。
 
友達とビールを飲みながら本を読めば、互いが読んだ本の内容について語るとき熱がこもります。
 
本を読みながらその本屋さんで作ったコーヒーを飲むのも充実した時間と言えるでしょう。
 
またビールやコーヒーは利益率が抜群に高いことも経営に有利に働きます。
 
ビールの原価は約150円。500円で売れば利益率は70%にもなります。
 
コーヒーの原価は約40円ほど。500円で売れば利益率は90%近くまで達します。
 
一方本の利益率は22%。その差は歴然としています。
 
ビールやコーヒーを売ることで集客を狙えるばかりではなく、利益率の向上を図ることができるのです。
 
ビールはビールサーバーがあればそのまま注げばいいだけですし、コーヒーについてもコンビニにあるようなコーヒーマシンがあれば難しい技術は必要ありません。
 
利益率が高い分導入コストの回収も早く達成できるため、検討に値する企画課と思います。
 
 

 突き抜けた展示方法を展開する。

 
紀伊国屋書店宇都宮店さんでは、仙台についての大々的な特設コーナーを作りました。
 

 

 
 
 
担当者さんが仙台へ行ったときに仙台の人に親切にされたのがきっかけで仙台の大ファンとなり、今回の特設を実施したそうです。
 
「私利私欲だけでやっているだけなんです」
 
その店員さんはそうおっしゃっていましたが、企画は私利私欲でやるのが一番だと思います。
 
それを楽しむ気持ちでおこなった仕事は、他を凌駕する結果をもたらします。
 
たとえ綿密な市場調査をおこなったところで、その企画に魅力がなければただ「やっただけ」ということになりかねません。
 
「自分が好きと思うもの」。販売に携わるビジネスマンには、その気持ちを大切にしていてほしいです。
 
 ・ビブリオバトルをやってみる
 
みなさんはビブリオバトルをご存知でしょうか?
 
 
それぞれのバトラーが「他の人にもぜひ読んでもらいたい!」という本を持ち寄り、5分間の時間を使ってその本を紹介します。全バトラーの紹介が終わったら、どのバトラーの本が一番読みたいかを投票で決め、チャンピオンを決めるというものです。
 
「知の書評合戦」とも言われています。
 
このビブリオバトル、図書館や大学では行われているのを見かけるのですが、書店での開催はそれらに比べるとまだまだ少ないです。
 
有名なところだと神奈川県にある有隣堂さんが挙げられます。こちらは毎月ビブリオバトルをやっています。
 
このビブリオバトル、効能としては集客効果の他に地域のコミュニティを形成できるというメリットがあります。
 
まずは集客効果。本を紹介するバトラーの他にも観覧希望者を集めることができますので来客数を伸ばすことができます。
 
ビブリオバトルで取り上げられた本を使って「今月のビブリオバトルコーナー」と言った売り場を作れば、バトラーの人は「自分が紹介した本が店頭に並んでいる!」と感銘を受けることでしょう。
 
自分の好きな本が店の目立つところで売られている。本好きとしてこんなに嬉しいことはありません。きっとその書店のファンになってくれると思います。
 
また定期的に開催することで、バトラーや参加者の間でコミュニティを形成することもできます。このコミュニティごと固定客として囲うことができれば、こちらも集客につなげることができます。
 
他の集客方法に比べるとコストが安いことも長所です。
 
ビブリオバトルを行うには周知が必要ですが、ツイッターなどのSNSで毎日のように発信すれば見てくれる人はいます。
 
市内や近隣の市町村にポスターを掲示することも効果的でしょう。
 
イベント自体も担当者が一人付けばあとはバトラーが進行してくれるので、人的コストも最低限で済みます。
 
僕もビブリオバトルに参加したことがあるのですが、あれは物凄く燃えます(笑)
 
ぜひ導入をおススメしたいです。
 

 地方の書店こそ活路あり!

 
「企画を考えるのはけっこうだけど、地方の小さい店じゃ客が集まらないんじゃないの?」
 
そう考える方も多いと思います。
 
実際これまであげた例は首都圏のお店が多いですね。
 
でも僕は都会より地方のほうがチャンスが多いと思うのです。
 
アマゾンの台頭により、大型書店の利点は消滅しました。
 
いくら在庫を抱えていても、アマゾンには決して太刀打ちできないからです。
 
そういう意味では大型書店も個人書店も立ち位置は同じです。
 
また地方であればまだ目立った企画を打っているお店は少ない。
 
企画力という点では、地方は競合が少ないと言えるのでしょう。
 
だからこそ今のうちに目立った企画を打っておけば、効果的な集客方法を確立することができますよね。
 
地方だからこそチャンスがあります。
 
目立つチャンスがあるのです。
 
あとは企画を出し、後方に力を入れ、あとはやるだけなのです。
 
 まとめ
 
ここまでいかがだったでしょうか?
 
アマゾンが脅威となって自分のお店を脅かしているように思われるかもしれませんが、アマゾンだって完ぺきではありません。
 
アマゾンがカバーしきれない分野を狙って、そこで集客を稼ぐのです。
 
そしてそれを始めるのはいまこの瞬間なのです。
 
同じ地域の他の店が始めてからではインパクトが薄くなります。
 
いますぐ行動を起こしましょう。
 
書店が活性化すれば、地域のコミュニティも元気になり、ひいては産業の垣根を越えて全ての人たちが文化的で幸せな暮らしを送ることができます。
 
そんな素晴らしいミッションを与えられた書店経営者の皆様は、本当に幸福だと思います。
 
本を置くだけではもったいないです。ぜひその幸せを世の中に広めていって下さい!